ピンポンうさぎ日記

料理レシピや趣味を中心に、日々の気づきを書いています

ボーっと生きてんじゃねー!チコちゃんに叱られるで紹介していた「円周率」の説明を実践してみたら、思ったより難しかった!!

背景

テレビで見た円周率の解説があまりにも分かりやすかったので、自分で計算してみた。

 

円周率を求めることは、円周の長さを求めること!

そもそも円周率の定義は、円の直径と円周の長さの比です。ギリシャ文字のπ(パイ)と表されることが多く、円の半径を r、円周の長さを lとすれば、次の式で表されます。要するに円周率πの値は、半径1の円の円周の長さを2で割った値ということになります。

 

 \pi = \frac{l}{2r}

 

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円周の長さを正確に測るには?

円周率は円周の長さを直径で割った値なので、実際に円を描いて円周の長さを測ればよいのですが、円周の長さってどうやって測りますか?定規で測ることができるのは、2点間の直線距離です。下の図の曲線PQの長さを定規で測ると、明らかに曲線よりも短くなります。曲線の長さを測るには、曲線上の点と点の距離を測って近似するしかなく、できるだけ細かく区切って精度を上げるしかありません。

 

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アルキメデスの方法!

問題は、円周の長さが正確に求められないことです。この問題に対し、番組内の解説は次のようなものでした、目からウロコが落ちましたね!どうやら、これはアルキメデスが実施した方法で、アルキメデスの方法と呼ぶそうです。

 

考え方はシンプルで、下の絵にある黒い円の円周の長さは、円に内接する赤色の6角形の長さと円に外接する六角形の長さの間であると考えます。

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円周の長さは、赤色の6角形の長さと緑色の六角形の長の間なので、あとは正6角形を,

12角形、24角形、48角形・・・と細かくしてゆけば円周の長さの精度が上がって、円周率の3.1416・・・も求められるというものでした。これは、アルキメデスの方法と呼ばれるもので、アルキメデスは正96角形まで計算して、小数点第二位までの、3.14を確かめたそうです。

 

6角形の周の長さを考える

自分で計算してみると、ふと大きな疑問にぶつかりました。

6角形の周長はどうやって求めればいいの?

 

赤色の6角形

こちらは簡単で、一辺の長さが1の正三角形が6つ並んでいるので、6です。

 

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緑色の6角形

こちらも、図のように正三角形を半分にした、内角が30度と60度の直角三角形なので、3辺の長さの比、 1:2:\sqrt{3}を使って、 \frac{1}{\sqrt{3}} \times 12 = 4\sqrt{3} と求まります。

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 \sqrt{3}について

 \sqrt{3}が出てきましたが、 \sqrt{3}は少数点以下の値が無限に続く数値です。文献によると、アルキメデスは3の平方根として、 265/153 < √3 < 1351/780 であることを示していたとされています。

 \frac{265}{153}=1.7320261437908497

 \frac{1351}{780}=1.7320512820512821

つまり、 \sqrt{3}

1.7320261437908497< \sqrt{3} < 1.7320512820512821なので、ここでは \sqrt{3}=1.7320として計算します。

 

6六角形の長さから求まる\piの値

とりあえず、正6角形を使ってπの値を計算してみます。

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赤色の6角形の長さ(=6) < 円周の長さ(=2\pi)< 緑色の6角形の長さ(=4\times1.7320=6.928)

両辺を2で割れば、

3<\pi<3.464

 

今の所\piは、3〜3.464の間の数というところまでわかりました。

 

6角形から12角形にする

次は、6角形から12角形にして、はさみうちの範囲を狭くします。その際の辺の長さの計算方法は、ここ↓の円周率πの計算についてを参考にしました。

https://www.juen.ac.jp/math/nakagawa/openh20pi.pdf

この中で使われている図形が分かりやすかったので、同じ内容を噛み砕いて説明しますね。

 

 考え方

ここで説明するのは、正6角形の辺の数を2倍にした正12角形の辺の長さの計算方法です。これがわかると、さらに正12角形を正24角形にしたときの辺の長さ、正24角形を正48角形にしたときの辺の長さが分かるようになります。

 

分割の方法

赤色で描かれた、内接正6角形の頂点と頂点の間に、新たに頂点Aを追加して正12角形にします。緑色で描かれた外接正6角形は、円との接点と接点の間に、新しい接点Dを追加することで、正12角形にしています。図のaとbの長さは、正6角形の一辺の半分の値で、既に分かっている値です。一方、a'とb'は正12角形の一辺の半分の長さで、分かっていない値です。すでにわかっているaとbの値から、a'とb'の値が計算できれば、正多角形の角数を増やしても、周長が計算できることになります。

 

 

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まずは外側の6角形→12角形

内接する12角形の辺の長さa'は、外接する12角形の辺の長さb'が必要になるため、まずはb'を求める方法を説明します。

 

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△OABと△EDBはともに直角三角形で、∠DBEを共有しているので相似です。したがって、

 OA:ED=AB:DB

 1:b'=b:DB

 DB=bb' \tag{1}

 

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△OCDと△EDBはともに直角三角形で、∠DBE=∠CDOなので相似です。よって、

 OD:EB=CD:DB

 1:b-b'=a:DB

 DB=a(b-b') \tag{2}

 

(1),(2)式のように、同一辺DBを、bb'とa(b-b')の二通りの方法で表す事ができました。したがって

 bb'=a(b-b')

 b'(a+b)=ab

 b'=\frac{ab}{a+b}

 

つまり、正六角形のaとbの値が分かっていれば、正12角形のb'の長さが分かります。

 

 

次はa'です。

△OFAと△DCAはともに直角三角形で、∠DAC=∠OAFなので相似です。よって、

 

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 OA:DA=AF:AC

 1:2a'=a':AC

 AC=2a'^2\tag{3}

 

 

△OAEと△OFAは、ともに直角三角形で∠AOE=∠FOAなので相似です。

△OAFと△DCAは相似でしたね。したがって

△DCAと△OAEは相似です。よって、

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 OA:DC=AE:CA

 1:a=b':CA

 CA=ab'\tag{4}

 

(3),(4)式のように、同一辺CAを、 2a'^2 ab'の二通りの方法で表す事ができました。したがって

 2a'^2=ab'

 a'=\sqrt{\frac{ab'}{2}}

 

まとめると、正6角形の辺の長さa,bと、正12角形の辺の長さa',b'は、

 b'=\frac{ab}{a+b}

 a'=\sqrt{\frac{ab'}{2}}

 この関係を使って、正6角形を細かくしていくと、表のように値が変化します

 

 

 

 

πの値はどうなったか?

6角形からはじめて、12,24,48,96,192角形まで細かくしてみました。

 

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6角形

左側の図は内接多角形(赤)と外接多角形(緑)で、それぞれの周長の半分の値を図の上に示します。つまり黒い円周の半分の長さであるπの値は、この段階では3〜3.4641の間の値となり、小数点第一位以下の値は不確定です。右には内接多角形と外接多角形の長さの半分の値をプロットしています。

 

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12角形

一気に、精度がアップしますが、まだ小数点第一が1なのか2なのか不明。

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24角形

ここまできて、ようやく3.1は確定。小数点第二位以下は不明。

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48角形

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96角形

正96角形でようやく3.14確定。アルキメデスはここまで計算したそうです。見た目はほぼ円そのもの。

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192角形

正192角形で、ようやく3.141と、小数点第三位まで確定!!

 

 

まとめ

テレビで見たπの求め方があまりにも分かりやすかったので自分でも計算してみましたが、実際計算してみると色々考えさせられる事が多かったです。自分の手を動かすことは大事だなあって思いました。